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AI開発はSaaSで足りる?独自開発する範囲の決め方

AI開発を依頼する前に、業務を工程に分け、既存サービスで使える部分と、追加で作る必要がある部分を確かめましょう。判断の軸は、自社の入力を扱えるか、必要な結果を次の工程へ渡せるか、運用条件を満たせるかです。本記事では導入を検討する企業担当者に向けて、見積書の処理を仮の例に、比較と見積依頼の進め方を説明します。

AIサービスの拡張で、開発前に試せる範囲が広がる

Google Cloudは2026年10月8日、業務向けのGemini agentを発表しました。公式発表では、企業システムへの接続、ツールや再利用できる指示・手順の活用を説明しています。これは導入の選択肢を考える材料ですが、発表だけで自社の契約や環境に全機能が提供されるとは判断できません。

既製機能の具体例として、MicrosoftのCopilot Studioには文書から指定した項目や表を取り出す抽出ノードがあり、結果を後続の処理に渡せます。対象はGitHub Copilot harnessという実行基盤で動くワークフロー等で、試験を含め使用量に応じた課金が適用され得ます。以下の機能情報は2026年10月10日時点の公式資料で確認しています。

こうした機能を候補にしつつ、対象の文書形式、利用できるプラン、保存・処理するデータの条件を確認します。ここからの比較手順と業務例は、公式仕様を踏まえた編集上の提案です。特定製品の導入実績や、検証済みの構成を示すものではありません。

既存サービス・設定や連携・独自開発を工程ごとに比べる

SaaSは、提供元が運営するソフトウェアをネット経由で利用する形です。AI機能を備えるSaaSを使う場合も、自社向けにシステムを作る場合も、必要な業務を最後まで処理できるかを確認します。まず各工程を次の三つへ仮に分類してください。

  • 既存サービスを使う:標準機能で必要な出力を得られ、画面や運用をサービスに合わせられる工程。独自の承認やデータ条件を満たせない場合は、そのまま採用しない。
  • 設定や連携を加える:抽出項目、通知先、処理の分岐を設定し、既存システムとデータを受け渡す工程。設定だけで済む範囲と、接続用の開発が要る範囲を分ける。
  • 独自開発する:候補サービスでは必須条件を満たせず、専用の画面、業務ルール、接続処理などを作る工程。必要性に加え、変更・障害対応を続けられる体制も判断に含める。

見積書から台帳登録までを分けると、不足が見える

仮に、購買担当者が届いた見積書を読み、取引先・見積番号・品目・金額を台帳へ転記しているとします。目標を「承認済みの見積情報が、重複せず台帳に入り、元の文書を確認できる状態」と置きます。単に文書を読み取れたかよりも、必要な作業範囲が具体的になります。

  • 受け取る:既存の共有フォルダーを候補にし、対象の文書とアクセスできる担当者を決める。新しい受付画面が必要かも確認する。
  • 取り出す:まず既製の文書抽出機能で必要項目を試す。項目名や説明を設定しても不足する部分が、追加実装の検討対象になる。
  • 確認する:担当者が原文と抽出結果を見比べる。金額の相違や取引先を特定できないケースを、自動登録へ進めない手順にする。
  • 登録する:台帳が受け取れる形式と接続方法を調べる。既存の連携機能で済むか、変換・重複確認・登録結果の記録を追加するかを決める。

同じ入力と期待する結果で、採用できる範囲を確かめる

比較には、社内で利用を許可された文書を用います。通常の見積書に加え、値引き行があるもの、金額欄が空欄のもの、同じ見積書が再送された場合など、現場で起こる条件を選びます。最初に人が期待する結果を記入し、候補ごとに同じ条件で試すと、不足の位置を説明できます。

例えば「見積番号Q-001、品目A、数量2、単価10,000円、税抜合計20,000円」という架空の入力を用意します。期待する結果は、各項目と原文の参照先を持つ確認待ちの一件です。金額が空欄なら空欄のまま確認待ちにし、同じ番号の再送は既存記録との照合対象にする、という条件を付けます。この振る舞いが標準機能で実現するかも試験対象です。

記録欄は「入力条件/期待する結果/実際の結果/人が修正した箇所/追加設定・開発の候補」とします。文字を取り出せないのか、社内の取引先コードに結び付かないのか、台帳へ渡せないのかで、次の作業は変わります。試作の成果物として、この比較表と不足一覧を受け取れるようにしておきましょう。

「連携できる」の中身を見積範囲へ落とす

接続口の有無は重要な分岐です。Microsoftはカスタムコネクタを、APIを介してサービスと通信するための仕組みとして説明しています。APIとはシステム同士がデータや処理をやり取りする窓口です。コネクタを作れることと、接続先に必要な操作が用意されていることは、別々に確かめます。

台帳の管理者には、参照と登録の両方に対応するか、使える項目、認証方法、利用制限、試験環境を確認します。登録APIがなければ、許可されたファイル取込や当面の手動登録も比較対象にします。接続方法が未確認のまま、自動登録までを確定した仕様にしないようにします。

仮の見積依頼では「文書抽出の設定」「取引先コードとの照合」「確認画面」「承認後の登録」を別の項目にします。それぞれに、採用予定の既製機能、追加作業、対象外、確認方法、引継ぎ資料を書いてもらいます。不足が小さければ連携部分だけを作る案を、必須の権限や画面を満たせなければ個別開発の案を比較できます。

費用は利用料と、残る作業を同じ期間で比べる

費用比較では、利用人数と処理件数、比較する期間をそろえます。初期設定・開発費、サービス利用料、AIの従量費、保守費に加え、文書の準備や確認・修正にかかる社内作業を別々に記載します。安く見える案でも手動転記が多く残るなら、その作業を含めて判断できます。

通常時と処理量が増えた場合の二つの条件を出し、再試行やテストの課金、上限到達時の動作も確認します。サービスの設定や接続先の仕様が変わった際、誰が確認して修正するかも決めます。独自開発を選ぶ場合は、運用担当者や引継ぎ方法が未定なら、開発範囲の確定前に体制を整える必要があります。

相談前には、入力例と「困る結果」を一つずつ用意する

最初の相談には、現行の手順、利用可能な入力例、欲しい結果、起きると困る誤り、使っているシステムと担当者を用意してください。完成した仕様書がなくても、これらがあれば、既製機能で試す範囲と調査・開発が必要な範囲を分けやすくなります。

ALPHA AGENTでは、AI導入やWeb・業務システム開発について、仕様書ができる前の課題整理から相談できます。関連サービスで支援内容を確認し、自社のどの工程を改善したいかを、入力例とともにお問い合わせください。

参考資料・出典

本文の情報は執筆時点のものです。仕様や提供条件は、リンク先の公式情報もご確認ください。

  1. Welcome to Gemini at Work 2026: Introducing the Gemini agent — Google Cloud(外部サイト)公開日: / 確認日:
  2. Add an extract node to a workflow — Microsoft Learn(外部サイト)確認日:
  3. Custom connectors overview — Microsoft Learn(外部サイト)確認日:
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